BLOG 匠建枚方 新築ブログ
住宅ローン・不動産向け融資が新規制とミニバブルで厳しくなる可能性が
金融機関の不動産業向け融資が過去最高になったようです。
東京の一部地域では、土地・新築マンション・中古マンションの価格が高騰しています。
新築戸建て購入者が心配なことは、仮に不動産バブルが崩壊すると、金融機関の審査が厳格になるということでしょう。
今後、住宅ローンの審査が厳しくなり、予定している借入金額が届かなくなる可能性があるかもしれません。
日銀は不動産市場に過熱感、不動産バブルの芽が出ていないかを注視しています。今のところ「過熱感はない」との見解だそうですが・・・。
金融機関の不動産業向け融資がバブル期を超えた
金融機関の不動産業向け融資が膨らんでいる。日銀によると、2014年度は12兆2544億円とバブル期の1989年度(12兆1075億円)を超え、過去最高になった。大幅な円安に伴う海外マネーの流入や都心部の規制緩和で不動産開発が活気づいている。需要の拡大が融資増加の背景だが、日銀も不動産市場に過熱感が出てこないかを注視している。(2015/6/28 日本経済新聞 不動産向け融資、バブル期超え最高に 14年度 )
不動産業向け融資のけん引役は、地方銀行や信用金庫で、工場の海外移転などで融資先に苦慮し、住宅・不動産向けの融資を強めているとのこと。
一方、円安が不動産業向け融資が拡大した理由の一つで、中国、台湾、シンガポール、欧米の投資家が、自国通貨からみて割安になった日本のマンションやオフィスビルを買っていることが融資拡大要因と報道されています。
また、容積率の緩和など、建築に関する規制緩和も不動産融資を強めている原因になっているようです。
下のグラフは、2015年6月24日に国交省が公表した不動産価格指数。今年の南関東圏の3月分の資料です。
マンション価格指数が突出して伸びています。戸建て住宅は、円安による物価高と、消費税増税の影響で実質所得が下がり続けてきたのが影響したのか、むしろ指数は下がっています。
○南関東圏の住宅総合は、2010 年平均を100 として、3月は105.0(対前年同月比 +2.5%)、住宅地は99.7(対前年同月比 +1.4%)、戸建住宅は96.9(対前年同月比 -2.8%)、マンションは117.9(対前年同月比 +8.8%)となった。(出展 国土交通省資料 不動産価格指数(住宅)及び不動産取引件数・面積(住宅)(平成27年3月分))
住宅ローン、不動産向けローンの審査が今後厳しくなる可能性が
リーマンショック後に、日本でも不動産ミニバブルが崩壊しました。
2008年~2009年にかけ、金融機関の貸し渋り・貸し剥がしで上場企業も影響をうけ倒産に追い込まれました。その中でも住宅・不動産業者、建築業者が多数行き詰まったことは記憶に新しいところです。大阪・京都・枚方でも、その頃、経営破たんした住宅・不動産業者がありました。
日経の記事では、「日銀は不動産市場に過熱感はなく、不動産価格の推移も含め、市場動向を注意深く監視していく」とのことですが、不動産向け融資が拡大し、バブル期の1989年度を超えて過去最高になっているのですから、不動産融資の厳格化、貸し渋りに今後は注意が必要でしょう。
ところで、金融機関による貸し渋り・貸し剥がしが起こると、企業向け融資が厳しくなるため、零細企業、中小企業の雇用が不安定になります。
派遣社員やパート、アルバイトの方から雇用をカットされたり、求人活動も中止になるでしょう。正社員の残業も減り、給与に影響がでることがあります。過剰な融資によるバブルはないほうがいいのですが、過去の例からもコントロールは難しそうです。
今後、住宅ローンの融資が厳しくなる要因は他にもあります。
主要国の銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会が、銀行が保有する国債など、金利関連商品に導入する二つの新規制案を先ごろ発表しています。金融機関が保有する国債や住宅ローン商品などの資産を厳しく管理するというものです。
住宅ローンの審査基準が、今よりも緩くなるというこは考えにくく、2019年のバーゼル新規制に向けて住宅ローンの審査内容が審査基準が厳しくなるものと思われます。とくに、借入金額に対して世帯年収に多少不安のある方や、頭金を残して住宅ローンを多めに借りる予定の方で、今から数年先に、新築一戸建てや新築マンションを購入される方は、少し気にされるようにお願いします。
主要国の銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会は8日、銀行が保有する国債などの金利関連商品に導入する新規制案を発表した。(中略)金融機関の国際ルールであるバーゼル規制の見直しの一環。新しい規制は市場金利が急上昇(価格が急落)した際に、銀行が保有する国債や住宅ローン商品などの資産価値が下がり、経営に悪影響を及ぼすリスクを監視する狙いがある。外国債も含め、あらゆる金利商品を対象にする。(出展 日本経済新聞 銀行の国債保有に新規制 バーゼル委、結論16年に)
貸し渋り・貸し剥がしとは
金融機関による貸し出し態度が極めて厳しく、民間の借り手が資金調達に困難を覚える状態。貸し渋りとは、企業の財務や経営状況の良しあしによらず、金融機関が新規融資や継続融資を渋る状態をいう。貸し剥がしとは、融資先企業が契約の約定通りに債務履行しているにもかかわらず、約定期間中に、金融機関から追加担保や融資返済を迫られる状態で、貸し渋りよりも融資態度は厳しい。(出展 コトバンク 貸し渋りとは)